2023/12/28 22:18
革産業はエジプトの一大産業である。事業者数は約17,600、約23万人が働いている。そして年間1億足の靴が生産され、スペインやイタリアなどに輸出されている。
産業の中心はタンナー(なめし職人)である。エジプトでタンナーが多く集まっているのはカイロとアレキサンドリア。とくにカイロ旧市街地のタンナーの歴史は古く、アイユーブ朝のサラディンの時代(1169年)にまでさかのぼる。なめされた革は旧市街の靴職人たちに提供されていた。
こうした古い歴史を持つカイロのタンナー街も、設備が古くなったのと、なめし作業による水質汚染が深刻になったこともあり、カイロ近郊に革専門の工業団地が建設され、タンナーの多くが移転した。また、カイロの外にもスペイン資本の大規模なめし工場ができて、より効率的に大量の革を生産・輸出している。
エジプトの皮革輸出の90%はロウハイド(鞣す前の原料となる皮)やなめし革。完成品である革製品の輸出を増やすためには、ファッションのトレンド情報やマーケットへのアクセスなどが課題だ。現在でもエジプトの革製品の中心は靴だが、エジプトのなめし革の品質を見込んでイタリアの靴メーカーが団地内に工場を建設する予定だ。
小規模レベルでは起業家精神のあるデザイナーが自分のブランドを立ち上げ、新しい革製品の生産にチャレンジしている。BAKKAR CRAFTは彼らのチャレンジを応援したいと考えている。
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